かつての日本は年功序列。
長く勤めるほど給与が上がっていきました。

父の場合も同様で、何年も働いていると仕事の腕も上がり、それに伴って給与も上がっていきました。

働く方は嬉しいですが、雇っている方は困り顔。元々安い人件費だからこそ利益が出せていた商売なので、なるべく若くて安く使える人材が欲しいんです。

アイロンも使ったことがなかった素人の父も気付けば、お店で一番の年長者。社長からそれとなく独立の話を持ちかけられるようになりました。

「場所を探してやるから、お店を出してみないか?」

その言葉を聞いて事態を察知した父は二つ返事で、お店を出て独立することにしました。

どんな場所なんだろう?そんな期待と不安の気持ちで現地を訪れてた父はビックリ!

そこは店舗ではなく、ただの一軒家でした。

しかも二階に大家さんが住んでいるので、使えるのは一階部分のみ。このままでは仕事が出来ないので、大家さんに了承をもらい一部を改装して入り口を作りなんとか開店にこぎつけました。

当初は、洗濯機を入れるスペースもなかったので、働いていたお店まで片道40分かけてバイクで持って行っていました。雨の日は憂鬱だったでしょうね。

数年後には、車も買って洗濯機も買って、ようやくいまのお店の形態になりました。