クリーニング屋さんから却ってきた洋服には、必ず数字や名前が書かれた紙が付いてますよね。

これをクリーニング業界では、“タック”と呼んでいます。

ただの紙だと思ってませんか?

コレ、実は結構すごいんですよ。

水に濡れても破れない紙で出来ていて、そこに使われているインクも濡れてもにじまない物なんです。

もし、お手元にあったら試してみて下さい。

そういえば、この紙を使ったメモ帳があるみたいですよ。確か名前は「tagged」だったと思います。

そんなすごいタックですが、ぼくの父が働き始めた昭和初期の頃は、まだありませんでした。

じゃあどうしていたかというと、洋服に糸でお客様の名前を書いていたそうです。もちろん全てのお客様のお洋服一点一点に。今思うと気が遠くなる作業ですよね・・。

こんな作業をやるのは、やはり新人の仕事らしく、父も最初はこの作業ばかりやらされていたそうです。おかけで、裁縫の腕も上がったそうなので結果的には良かったのかな?

なにせ今でもクリーニング屋さんと裁縫は、切っても切れない縁なんです。

専門的なお直しまでいかなくても、簡単なホツレ直しやタックを直接止めることが出来ない品物への縫い付け、ホックやボタンのカバー、洋服のボタン付けと挙げたらきりがないくらいです。

特にうちみたいな個人店は、一人で色々な事をやらなければいけないので、サラリーマンの時には出来なかったスキルが身について得したかも。