あなたが今着ている服は何年前に購入した物ですか?

2年?5年?それとも10年前?

 

洋服の寿命というのは一般的に5年前後です。それ以上たつと生地や糸、加工が劣化して傷んできます。付属品であるボタンにしても5年もたつとデザインが変わっていて替えのボタンが無いってこともよくあります。

 

じゃあ5年たてばすぐに着れなくなるのか?

 

もちろんそんな事はありません。5年たったからといって、突然生地がボロボロになったり色が剥げたりするわけないですよね。着ようと思えば7年でも10年でも着れるでしょう。

 

ですが、クリーニング店からするとそうもいきません。

クリーニング店では、洗濯タグに記載されている組成表示、洗濯表示、注意書き以外にその洋服について知ることが出来ません。

 

いつ作られたのか?

どんな糸で作られたのか?

その生地は何年もつのか?

染色堅牢度は?

どのくらい着たのか?

どんな状況で着たのか?

どんな場所で保管していたのか?

何のシミが付いたのか?

 

分からない事だらけなんです。その為にクリーニング店では、事故が起こった時のために”クリーニング事故賠償基準”という基準をもうけています。これは、クリーニング店の責任で事故が起こった際に、洋服の購入金額、着用年数、洋服の状態を元に賠償金額を決めるというものです。

その基準からすると耐用年数が4年のスーツの場合、2年で7割、4年で5割、8年以上だと2割の査定金額になってしまいます。

当然、このクリーニング事故賠償基準はクリーニング業界で勝手に決めた物ではなく、昭和43年にクリーニング業界、学識経験者、各消費者団体、弁護士、流通販売業者、繊維業界、保険業界、行政によって議論されて制定された基準なんです。

 

そもそも、アパレルメーカーが洋服を販売する時の対応がまずいのではないか?と思います。

 

例えば、ポリウレタン樹脂を使用した製品の場合。3年で劣化して剥離やベタつきがおきる可能性があるのですが、ショップの店員さんは売るときにその説明をしているのでしょうか?最近でこそ、洗濯タグに3年で劣化する旨が書かれている製品を見かけるようになりましたが、以前はそんな記載もなく、何かあればクリーニング店が悪い!というような状況でした。

 

例えば、シームレスダウンの場合。縫製ではなく、接着で止めた部分が経年劣化により剥離する可能性があることをお客様に伝えているのでしょうか?

 

例えば、洋服の洗濯タグに書かれている組成表示、洗濯方法が誤っていた場合。お客様にその旨を伝える努力をしているのでしょうか?こういった場合は、メーカーのホームページに記載間違いがあった事が載っているのですが、何人の人がこの案内を見るでしょうか?店頭に表示されてもいない、テレビや新聞で広告を出すわけでもない、さらには数年すればこの案内すらホームページから消えてしまいます。でも、記載間違いの洗濯タグが付いた服はお客様の手元に残ったままです。結果、トラブルが起きたらクリーニング店任せになるわけです。

 

アパレルメーカーの売ったら終わり!という姿勢はそろそろ変えて欲しいです。

 

家電にメーカー保証があるうように、洋服にもメーカー保証を付けるべきです。そうすれば、洋服を購入されたお客様も安心して気に入った洋服を着ることが出来ます。”ざんねんないきもの”ならぬ”ざんねんなアパレル”が変わることを望みます。